【超長文】ぐりタンに送った本と送ってもらった本と経済と

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色々と一気にまとめて

まず、ぐりタンに送った「ヤクザ・リセッション」。その内容というか本題には触れないでおく。だってほら、読んだ人だけの話に留めておきたかったりするじゃん?

その中から出てくる話題の一つにいかに日本が汚職がヒドいかという話がある。だって、毎年だよ?毎年閣僚級の人間の汚職事件がオモテに出て、しかもタイーホもされない。国会議員でタイーホされるのって鈴木宗男や辻本みたいに「目立ちすぎた人」じゃん?要するに法治国家じゃなくて人治国家なわけだ。
かといってアメリカがクリーンかというとそんなわけはないんだけどね。大前提として、アメリカの政治家はほぼ全員ビジネスマンだから。軍部のトップクラスでも普通に企業を経営してたり、役員だの顧問だのに名を連ねてる。タミフルで儲けた人がいたのは(ry

そういった法治国家になりきれない日本のルーツとでも言いましょうか、ちょっと。

ぐりタンにもらった本の中に三国志に関する本がある。学者が素人にも分かりやすく、と噛み砕いて書いてるんだけど、なるほど分かりやすい。特にアタシみたいに演義や漫画から入って正史までは・・・、って人にはちょうどいいかも。
その中からいくつか興味深かった点を。
まず、アタシの中のイメージとしては元々三国志の英雄とかもそれほどは美化して捉えてないのね。と、いうのも辞書とかで劉備とか調べてみたら分かるけど「地方豪族」扱いだったりするのよね。学のある人に言わせると、劉備が漢室の末裔かどうかは甚だ疑わしいらしいwだって皇帝と同じ劉姓を名乗ると税金が安くなるらしいから。当時はそういう輩が多かったのも事実らしいし、そうでなくても後漢の成立から何百年も経てばそりゃ劉備だけじゃなくても末裔なんざ腐るほどいるよw皇帝クラスなら妾の数も一般をはるかに凌駕するもんね。ケタ違い!

そんな背景を下敷きに読んだんだけど、まずこの本の中で多く取り上げられる「名士」という概念が大変に興味深かった。ぐりタンも言ってたところだけどね。これは、上記人治国家って概念に辿り着く話にもなるんだけど、要するに当時の「名士」ってのは「豪族」よりも少しだけキレイ。と、いうか儒教の価値観をベースに「名声を得た豪族」って概念。これは分かりやすい。
そんな名士がどういう位置づけかと言うと、劉備曹操を神輿とするキレイめな豪族達って感じかな。愚民を実質支配するのは間違いなく名士。特に、現代の政治家のごとく「地盤」を持ってるのがほとんど。これが大きい。君主権力というのは日本人の概念とはかけはなれて小さい。ある意味面白いところで、この矛盾点についても何度も著述されている。君主権力の中央集権型にすれば名士の反発を浴びて地盤(国力と言ってもいいかも)が不安定になり、名士の声を尊重しすぎると袁紹みたいに戦争に弱くなっちゃう。
結論から言うとこのバランス感覚が一番優れてたのが曹操ってことにもなると思うんだけど、実はその対応とかも人それぞれで面白いのよね。
ちなみに、もう一つ概念として忘れないでほしいのは、中国、もといあの地域(あえてそう記す)は国民の八割がまともな教育も受けていない農奴で、それは今も変わってない。高等な教育なんてのは国民の二割も受けられないのだ。つまり、ほとんどの民は支配されるだけで、支配階級はこの地位を明け渡す気が毛頭無い。だから、教育というものが浸透しない。
特に名士は曹操をはじめとする戦争屋を手放しでは評価したりしない。ましてや完全な武官などはヒドい扱いだ。張飛でさえ、名士は面会を拒絶するほど。
名士層としては、君主が誰だろうと「自分達の地位が安定ならトータルOK」なのだ。それは荊州攻防などによく現れている。荊州学なんてのができるくらいに劉表支配は安定してたけど、死んで曹操が攻めてきたらあっさり帰順。これはヒドい。こういう、名士層お得意の派閥争いも相まってあっと言う間にズタズタになっている。

まぁ・・・、要するに・・・、三国志って戦争の伝記というよりは政治力学なんだな、ってこと。
曹操が戦の天才であるというのは揺るがないんだけど、名士の支持ナシには好き勝手できっこない。
いくら帝を擁しても、決定打とまでは言えないのだ。逆に言うと、帝を擁したことで名士の支持を辛うじて得られていた、とも言える。これらの概念を前提として青天航路を再読すると、後半の戦争が少ない展開の方が面白かったりするから不思議。特にイク様とのやり取りも合点がいくというもの。
当時の名士達は儒教を基調とした「人物鑑定」に躍起になっており、行動による結果よりもこちらが先行する事が多かったし、高名な人物鑑定家にそれなりの評価をもらって初めて「名士」層の仲間入りが出来たとも言える。当時の人たちはこれに必死で、イク様も儒教的価値観で高い評価を得られない人物の出世を望まない表現が見えるのはそのためだ。

こうやって考えると、君臣の契りや文官、軍師の智謀とやらも色褪せて見えてしまう。確かに司馬イとかは孔明の北伐を何度も防いでいるあたり、ただの名士ではなく軍略家として非常に優秀であるのが伺えるが、これもむしろ孔明の政治力の限界とも言える。だって戦争やる国力がないんだもん。

曹操は名士を利用はするけど力を奪っていく方向で国を強化していったし、そのバランス感覚は絶妙だった。これに危機感を抱いた陳グンタンが作ったのが九品中正制度(だっけ?)だよね~。曹操死んで名士も復権に必死。強烈な綱引き。それがこの制度だ~。その内容ってのは、生まれによって出世の限界が決まるってこと。だから戦争うまい人とかでもあんまりいい家柄(出身地)じゃなかったら出世させないぜ?ってことだよね。まさに名士層による支配、利権の確保。恐ろしいw

そこで話をかなり戻して、現在の日本。影響がないとは言えないだろうね。法を犯しても捕まらない。「空気を読む」って言葉があるけど、大事なのはルールじゃないらしい。

・・・。

つづくwww