硫黄島からの手紙

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2006年/米/140min.
監督:クリント・イーストウッド
脚本:アイリス・ヤマシタ
製作:スティーブン・スピルバーグ ロバート・ローレンツ
主演:渡辺謙


あらすじ
第二次世界大戦後期。太平洋に浮かぶ日本国「硫黄島」における戦闘を日本側からの視点で描いた作品。
1945年2~3月、アメリカが第二次世界大戦において最も死傷者を出したとされる激戦地、硫黄島。戦争が進む中で日本は敗色濃厚。それは誰よりも現場の人間が悟っていた。日本国内における報道と前線はあまりにも違いすぎたのだ。そんな中、各前線にて次々と陥落する日本領。硫黄島もその例外ではなかったが、他と大きく違ったのは現場の最高司令官栗林忠道中将(渡辺謙)の取った防衛策である。
多くの将兵が「潔い死」を渇望する中、栗林は絶対にそれを許さない。米軍側も当初は「硫黄島は5日で落ちる」と予測。現実にもそのようにプレスリリースしていたが、硫黄島は実に約一ヶ月にわたって陥落しなかった。米軍は島に上陸を開始すれば、日本兵は皆「バンザイアタック」をしてくると踏んでいたのだが、栗林が固くこれを止めていたのが米軍の攻略を遅らせたと見られ、双方実に多くの死傷者を出した。

また、本編では赤紙で召集された若きパン店店主「西郷(二宮和也)」と栗林の階級を越えた接点を通じ、現場における部隊の心情を描いている。


レビュー
これは日本版、いわゆる日本向けにエディットされているのだろうか?本作のコンセプトがまず「日本からの視点」である事は明白だが、あまりにも良くできすぎている。本当にアメリカ人が撮ったとは思えないのだ・・・。それほどに、日本人の心情を描写している。かつて「ラスト・サムライ」という映画があり(これも渡辺謙が出演してましたね)、かつてないほどに忠実に日本を描いた作品であったが、時代考証等を考えても本作ははるかにそれを超えている。
多くを語るのは野暮に当たるが、戦争とはやはり「殺し合い」に他ならないのだ。美しくなどあるはずがない。現実に、事実に忠実に描き、自国を美化しないクリント・イーストウッドに敬愛の念を示します。

採点
☆☆☆☆☆

一度は必ず観てください。NHKでの硫黄島特集も素晴らしかったですが、このような犠牲の上に現在が成り立っている事を忘れないでください。そして、目をそらさないでください。