大日本人

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2007/日本/113min

監督:松本人志
脚本:松本人志高須光聖
制作:吉本興業
主演:松本人志

あらすじ
巨大化できるという特異体質を代々受け継ぐ大佐藤(松本人志)は政府からの依頼を受け、街を襲う怪獣(劇中では獣と書いて「じゅう」と略称する)達を倒す日々を送っていた。
かつては国民的英雄として支持され続けた大佐藤一族とその活躍の数々だったが、時代性の中で受け止められ方も変容。その存在意義も曲がり角に。
本作冒頭では、そんな大佐藤へのマスコミからの密着取材といった視点から始まり、大佐藤の葛藤、苦悩を描く。

レビュー
松本人志初監督作品。お笑いタレントとして多くのファンを持つ彼の新しい挑戦、試みとして大きな注目を集めた本作。その内容はシュールな笑いをちりばめ、「よりリアルな英雄像」を追求した変身ヒーローものとなった。
彼の試みは非常によく理解できる。そりゃあ怪獣倒すたびに街中で大暴れしていれば迷惑に思う人も多いだろう。変身する前の正体もバレてるだろう。変身ヒーローもとりたてて幸せとは限らない。そのどれもがもっともな話なのだ。
しかし、ここからが問題でどうしても彼は「お笑い」から抜け切らない。もとい「お笑い」抜きでの仕事ができないらしい。これはかつて彼が「伝説の教師」というドラマで主演した時にも同様であった。「俳優」に、「監督」に徹しきれないのであろう。少し意地悪な言い方をすると、自信のある「お笑い」抜きのモノづくりができない臆病さともとれる。
もう一点難しいところで彼は「リアリティ」も求めているのだ。その「リアリティ」と「お笑い」を彼なりに高度なレベルで折衷させるとこのような映画になるのであろう。
先述「伝説の教師」では完全に「お笑い芸人松本人志」で出演していたが、今回は幾分「俳優」にシフトしている。この状態はかつて彼が作成したオリジナルビデオ「頭頭(とうず)」に似ているかもしれない。
レビュアー個人としては高く買うが、「面白かった」「分からなかった」の二択でしか評価を許されないのなら多くの人は「分からなかった」で終わらせるはずである。

おそらくは二度目の監督作品を制作されると思われる同監督の一里塚となる作品。北野武第一回監督作品「その男凶暴につき」をどことなく思い出してしまう。

採点☆☆☆☆★
久しぶりに四点です。ちなみに、星の評価基準ですが

六点 ちうべいサンの人生に欠かせない一本
五点 DVD購入してもいいほどの面白さ
四点 この映画を観るためだけに時間を作ってもいいレベル
三点 映画を観たいが特にタイトルを決めてない時のオススメ
二点 友人や家族、恋人がどうしても観たがってるなら
一点 人生の無駄遣い

となります。今回の大日本人もまだの方には是非一度観ていただきたいです。レビューにもありますが、映画にはそれ一本で楽しむ「点」の楽しみとつなげる「線」の楽しみがあるのです。