’07大晦日 三崎vs秋山 2

イメージ 1

ファッションの流行色が適当に決められている現実。
大人になるとしゃっくりって減りませんか?
愛の輝く、ちうべいです。

デニス・カーンの敗戦を目の当たりにするまで、三崎は秋山を「違う世界の人間」とまで認識していたようです。それは永遠に交わる事がないとまで言っているかのようであり、ましてやリング上で対峙することなどありえないと考えていたそうで。
その考えが、デニスの敗戦で180度変わる。
「俺が行くしかない。」と。
以前も記事で書いた事がありますが、秋山は明確なルール違反を犯しました。反省の色も皆無。ルール違反とは、まさに規則、決め事を守らない事。ルール、規則というものはそのジャンルがそのジャンルたりえる存在証明とも言えます。仮に総合格闘技のルールに「寝技なし」の四文字が書き加えられたらそれはキックボクシングになります。ルールを守らないのは、「ジャンルの破壊」なのです。
それも、この場合の反則とは「一時的な感情」で犯したものではなく、「計画的に」行われたものなのです。W杯決勝でジダンが頭突きをしたのとは大きく異なります。
満を持して登場した三崎。
ファン、観客は「反則野郎に制裁」を強く求めている状況。実際に秋山の入場では大ブーイング。三崎の入場は大歓声にて迎えられた。

かくして、大晦日に二人は相まみえた訳ですが、個人的に印象的だったところなど。

1・開始直前、まっすぐに三崎を見据える秋山に対し、視線を合わせない三崎。レフェリーの「シェイクハンッ!」の掛け声に応じて両手を差し出す秋山に対して上から拳を叩きつけた三崎。
2・三崎の戦術は上下の打ち分けと、相手のローキックをカットしつつ、カウンターのヒザを合わせるやり方。対して秋山は左の重いジャブと右の的確なローから必殺の右ストレートにつなげるやり方。
3・5分ほど決め手の無い展開が続き、秋山の右ストレートがヒットし、三崎はダウン。たたみかけるべく、秋山は上のポジションを取り、パウンド(グラウンドでの打撃)を連打するも決定打とならず、三崎は隙を見て立ち上がる。
4・ほどなくして、スイッチから三崎の左フックが秋山の鼻っ面に当たり、秋山はもんどり打ってダウン。立ち上がりざまに追撃の顔面蹴りがヒットし、レフェリーが止める。
5・試合後、握手を求める秋山に対して三崎は一旦下がらせる。続けて三崎のマイク。
「おまえは去年、たくさんの人と子供たちを裏切った。俺は、絶対に許さない。今日、試合をして、おまえの心が俺にも届いた。だからこれからは、たくさんの人たちと、子供たちに、お詫びと誠意の気持ちを込めて戦って欲しい。柔道最高!日本人は強いんです!」

ここまで極上のリアル勧善懲悪エンターテインメントは生まれて初めて見ました。会場は爆発。リングになだれ込むセコンド陣。その中には高田統括本部長も。
上記の何点かについて色々と。
1については別段どうこうということはないですね。秋山の反省ゼロがあの堂々とした態度に表れてましたし、挑発に乗らないようにする三崎も理解できますから。
2の戦術は見れば見るほど興味深いのですが、技術論も戦術論もそんなにフィーチャーする気はないので割愛。
3は秋山のストレートと、そこへのつなぎを褒め称えるのは当然として、一瞬意識が飛びつつも立て直した三崎が一番すごいでしょう。倒れ方を見て「終わった!」と思いましたから。実際、あの倒れ方ならHERO'Sならレフェリーに止められてたかもしれませんね。K-1から派生してできたHERO'Sはストップが早いんですよ。あともう一点、これは次のフィニッシュにつながる話題ですが、三崎は秋山の「隙を見て」立ち上がってる点。
4の左フック。三崎は「それほどの感触が無かったけど、効いてるパンチってのは案外そんなもの」の典型ですね。あれだけだったら試合は止まらなかっただろうが、立ち上がり際に併せられたキックで万事休す。この日の解説を務めた高阪が近年盛んに言う「総合格闘技における際(きわ)の重要性」である。これもまさしく「立ち上がり際」にヒットしており、秋山自身がこのルールにおける「立ち上がり方」を身につけていなかった事を現す。
5のマイクは賛否両論だが、個人的に大いに賛。痛いニュースの「観るレベル」が上がってきたせいもあって、このマイクも評価される形で締められていたが嬉しい限り。観ていて「まだちょっと手ヌルいかな」とまで思ったものですw
まず、許さないとしつつも、これからも禊を込みで闘っていけ、と未来を示唆している点。優しいじゃないですか。追放されてもおかしくない人間に道を示すなんざ。
柔道最高!も秋山の決め台詞を馬鹿にしてるわけではなく、柔道出身の三崎が秋山に対する理解と敬意を込めてのものであり、日本人は強いとの発言も、以前からずっと言っている言葉だ。

そんなわけで、フィニッシュの顔面蹴りを「反則だ!」と主張する秋山を下衆と思いつつ締めたいと思います。さようなら秋山。