’07大晦日 三崎vs秋山 1

年末年始はほとんど練習せず。
最早格闘家を名乗れませんね?
愛のダラダラ腹、ちうべいです。

さて、他にも書くこといっぱいありそうですが、忘れ得ぬ一戦を総括しときます。

晦日、埼玉で行われた「やれんのか!」に於ける三崎vs秋山ですね。
詳しくは↓をどうぞ
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1074624.html

それを踏まえた上でふがふがと・・・。

そもそもの事の発端が一昨年大晦日の桜庭戦における秋山の反則ですね。
明らかになっているだけで、脚部へのクリーム塗布。疑わしい案件でグローブ内へのメリケンサック隠匿。後者は本人からのカミングアウトがありませんので、仕方ないでしょう。
このクリーム塗布が試合にどれほどの影響を与えるかは、日本が誇る世界的グラップラー(組技の達人)菊田早苗氏が自らのブログで「試合にならない」レベルであると証言。ましてや、桜庭はタックルを主武器とする選手。相当悪質な反則行為です。
実際、永らく格闘技を見てきた中でこういったクリーム等「滑る」塗料を体に塗った選手がリングに上がるのは少なくない事は知っています。近年はチェックも厳しくなり、以前ほどは「アイツ滑るわ~」的な話を聞かなくなっておりました。しかし、ここからが大きな問題。この体を滑らせる反則、アタシが記憶する限り日本人で犯した人はおよそ居ないのです。勿論全くではないでしょうが、日本人は元来ストライカー(打撃の達人)よりもグラップラーが多いこともあり、滑らせて損をする人は居ても、得をする人は大変に少ないのです。
そしてもう一点、大舞台で日本の英雄を相手にやってしまった点です。これもマズかった。桜庭和志というのは日本の格闘技界が誇る一大ファンタジスタ。桜庭の前に桜庭無く、桜庭の後に桜庭無しと言ってもいいでしょう。一生を通じて何人見かける事ができるか分からない「ジャンルを越えた天才」なのです。この選手との一戦でこのような重大な反則を犯したのはマズかった。

一つの反則の反響が大きくなったのはこういった背景ですね。田舎の試合で、オランダ人がかけだしの若手を相手にオイル塗って現れてもここまで話が大きくならんのですよ。
その後大きくなった話がなかなか収束しなかったわけですが、これにも原因があります。秋山自身の対応ですね。試合直後、何なら試合中に秋山の反則を訴える桜庭に対し、秋山は反省の色を見せなかったのです。それが顕著に現れたのが証言、謝罪が二転三転する対応。アタシ自身もこれで完全に信用できなくなりました。
「汗っかきなんで」発言は最低でしょう。

大会運営サイドの対応も非常にマズかったです。
秋山の反則に対し、「無効試合」裁定と「無期限出場停止処分」としたのです。ありえないでしょう。
「反則負け」、「永久追放処分」と「王座剥奪」が当然でしょう。曲がりなりにも主催大会の王者が重大な反則を犯したのですから。権威もクソも無いでしょう。
三国志大戦でも、カードに細工して全国大会優勝!ってなったら全国からブーイングでしょう。当然優勝者へ贈られる特殊称号も剥奪でしょう。それを怠ったのです。また、メリケンサックを握りこんだされる「グローブを外す時の動画」も公開されませんでした。何を考えてるんでしょう。

しかし、ここからが日本格闘技界の不思議なところが出ます。
秋山を復帰させようという話が関係各方面から出るのです。
秋山にそれだけの「商品価値」があるから、ということです。
つまり、「悪役」にリング上で「制裁」を加える画ヅラで客を呼ぼうとするビジネスです。
プロレスでは古くから行われてきた手法なので、あっさり実現するかと思われましたが、総合格闘技の世界ではファンがなかなかウンとは言いません。これに業を煮やした主催者サイドが考え付いたのが「試合会場でのファン投票で復帰の是非を問おう」との案です。この投票で秋山は復帰OKのお墨付きをファンから得たカタチとなります。

それでも格闘ファンから向けられる白い目を案じてか、主催者は日本国内ではなく、秋山の復帰戦の舞台を韓国とします。これは秋山の出自(元韓国籍。日本に帰化済)に拠るところが大きいのは疑いようがないでしょう。現に彼は、この復帰戦のリング上でマイクを通じて「チュ・ソンフン(韓国籍時代の秋山の本名)です。」と挨拶をしています。
とんだ茶番に見えますが、主催者が秋山に課したハードルは予想外に高かったです。対戦相手にデニス・カーンを持ってきたのです。ここで簡単に説明しておくと、デニス・カーン韓国籍のハーフ。外国育ちではあるものの、韓流ファイターとも呼ばれるアジア人離れした男前。また、85kg前後の階級では世界屈指の強豪。この階級でトーナメントを行えば、何回に一回は間違いなく優勝するであろうと思われる超一流のファイターで、他に比類なきハードパンチャーなのです。実際、'06のPRIDE ~83kgトーナメントでは準優勝を飾っています。
そのデニス・カーンを相手に1RKO勝ち。衝撃でした。「あの」デニス・カーンが一方的に打撃で負けるなんてことが想像できなかったのです。
大方のファンの予想は「調子に乗ってる秋山はデニスの打撃でボコボコにされて現実を知るだろう。」くらいのものでしたので、この予想を大きく覆すことになります。
ここに、世界の格闘技ファンと同じく、強い衝撃を受けた漢が居ます。

そのデニス・カーンとトーナメント決勝で相まみえた三崎和雄、その人です。

つづく